魚を生のまま薄く切って、チョコチュジャン(唐辛子酢味噌)やわさび醤油につけて食べる「フェ」は、日本の「刺身」とほとんど同じだ。だが、フェは、そもそも中国から来たもので、漢字で「膾」と書く。本来は、肉類を一口サイズに切って、ヤンニョム(薬味)で和えた料理だった。それが韓国風にアレンジされ、魚介類などをチョコチュジャンで和えたものに変化していった。その後、近代になって、日本から生魚を三枚に下ろし(회뜨기)て食べる“刺身”という方法が伝わり、現在のスタイルが出来上がった。これにより「フェ=刺身」となり、刺身をチョコチュジャンで食べるという日韓混合スタイルが生まれたのだ。 現在のフェは、基本、生きた魚
今、私たちはコロナという未曾有のパンデミックの中で一寸も予測できない時代を生きている。しかし、夜が更ければ夜明けも遠くないもの、もし今日のこの状況が頂点に達したら、近いうちにこの深い苦痛のトンネルも終わりが見えてくるだろう。にもかかわらず、韓国は5月10日には新政権が発足し、6月1日には第8期 地方自治体選挙を行わなければならない。現在の状況がいくら暗鬱で未来が不透明でも、自分の地域の代表者を選ぶ選挙をしなければならない。今、自分の地域の未来を導いていく候補者たちが、互いに熾烈な競争を繰り広げ、それぞれ自分が最高であることを誇っている。何度も選挙を行いながら数多く繰り返される言葉だが、地域の未
韓国では、フライドチキンの人気がべらぼうに高い。他国より明らかによく食べていると思う。ビールのおつまみにフライドチキンを食べることを「チメク」(チキン+メクチュ[ビール])と呼び、もはや庶民の食事のスタンダードだ。韓国人はなんでも、1人当たり1年で12羽のチキンを食べ、1日で約52万羽を消費しているという。1980年代頃までは、市場に行くと生きた鶏を売っていて、そこで1羽を選ぶと、その場で羽をむしって、30分ほどで鶏の丸揚げを作ってくれたそうだ。揚げている間に、市場を回って、他の買い物をして戻って来るというわけだ。残念ながら、現在は食品衛生法によって、この商売は禁止されてしまったが、あー本当、
今、世界はコロナ·パンデミックという未曽類の事態の中で、以前には経験したことのない厳しい現実に置かれており、漠然とした恐怖がトラウマになり、世界各地はもちろん韓国も隣人の周辺を転々としています。私たちが経験するこのコロナパンデミック事態を人類の大災害と絶望的な表現をする人もいます。コロナで生活の場を失った人々と家族を失った人々、共同体と経済活動のメカニズム作動が止まり、個人のすべての日常が侵され制限される状況では明らかな事実であり、正しい言葉です。 しかし「明日地球が滅びても私は一本のりんごの木を植える」というオランダの哲学者スピノザの言葉のように、いくら苦しくても、心を決めることがとても苦し
私は大学で日本語を教える教授として日本で学ぶことは学び、私たちの良い価値と礼儀そして多様な文化などを教えている。日本人とは仲良くよく過ごしている。最近は海外へ出るのも難しくなりとても残念だ。2021年を無事に終えたので、2022年の新しい計画を各自が立てればと思う。年末年始の日本人の風景は独特と言える。私は具体的に新年の計画を立てて実践しようと努力している。幼い頃もそうだったが、日本に留学した時から具体的に新年の計画を立てることが生活の一部になったと言える。私は新年を重視しているが、日本人は年末年始を同じく重要視しているようだ。年越しを送り、新年を迎える日本人の情緒は韓国とはずいぶん違う。若い
フェドッパプとは、どんぶりに盛られたご飯の上に魚の刺身と野菜がのっていて、そこにチョコチュジャン(唐辛子酢味噌)をかけ、混ぜ合わせて食べる韓国料理だ。いうなれば、海鮮ビビンパプである。「日式」という看板を掲げる日本式の高級海鮮料理屋における、リーゾナブルな一品。デートで日式の店に行っても、これだけ食べて帰る若いカップルが多いとか。盛られている刺身の種類はいろいろだ。ヒラメ、マグロ、サーモン、イカ、アナゴ、トビコなどなど。野菜は、キャベツ、レタス、サンチュ、エゴマの葉、カイワレ大根、ニンジン、ダイコン、タマネギ、キュウリ、豆もやし、ニンニク、青唐辛子など、これまた豊富。そこに海苔や白ゴマがふって
チャジャンミョン、韓国人にとっての国民的メニュー。元は中華料理、山東省の「炸醤麺[ジャージアンミェン]」(豚のひき肉と細かく切ったタケノコやシイタケなどを味噌で炒めて作った「炸醤」を麺にのせた料理)だが、韓国ならではの独自の進化を遂げ、韓国にしかない中華料理となった。最近では中国にも逆輸入され、人気上昇中だとか。味もさることながら、中国には出前という文化がないので、それも功を奏したのだろう。チャジャンミョンの発祥の地として有名なのが仁川である。港町として栄え、チャイナタウンがあった。1905年、中華料理店『共和春』が、炸醤麺をメニューに加えたのが始まりだった。1945年の解放以降、カラメルを加
チェユクポックムは、大衆食堂の定番メニューであり、家庭料理としても頻繁に作られる一品だ。豚肉の甘辛炒め。スライスした豚肉をコチュジャンのタレで和えた後、フライパンで野菜などと一緒に炒めて食べる料理。ご飯とともに食べるチェユクトッパプ(豚丼)もある。チェユクポックムの「チェユク」とは豚肉のことだ。漢字語の「豬肉(チョユク)」の発音が変化して「チェユク」になったという。その変化がいつごろ起きたのかはわからないが、1924年に出版された小説に、酒のつまみにチェユクを食べるシーンが描かれているので、少なくとも日帝時代には変化していたといえる。ただこれが、料理名なのか、豚肉そのものを指すのかはわかってい
2019年 12月から触発されたコロナが、2021年 夏季の猛暑の中でも依然として進行形だ。国境は閉鎖され、移動は停止した。韓国もコロナ患者の暴発によりソーシャルディスタンスが再び4段階に引き上げられた。それでも世界各国ではワクチン接種が活発に進み、コロナ政局が徐々に崩壊している。やがては「ポストコロナ時代」が到来することだろう。文化が力であり経済である。文化が世の中を変える力というアジアを一つに、相互政府共有と交流拡大分野にしっかりとしたインフラとネットワークが構築された「アジア文化経済振興院」の積極的な関心と声援の下、約1年間心血を注いだ研究開発、市場調査の末、アジアを代表する化粧品となる
韓国の手軽な食べ物としてもっとも代表的なもの、それはキムパプだろう。ご飯と一緒に、たくあん、ゴボウ、ニンジン、ハム、カニかま(게맛살)、卵焼きなどを、海苔で巻いて食べる。ご飯は、ごま油と塩で味付けする。あ~、引き立つ香ばしさ。これ、病みつきになる味のひとつ。変わり種として、海苔を内側に米飯を外側にして巻いたヌードキンパプがある。いわゆるカリフォルニア・ロールなのだが、色っぽいネーミングにドキッ! キンパプをさらに薄い卵焼きで巻いたケランマリキンパプも大人気だ。もっと驚くメニューには、焼きサンマ丸々一匹をそのまま巻いたコンチキンパプなるものが、済州島にある。サンマの頭と尻尾がキンパプの両脇から飛
パジョンとは、パ(ネギ)のジョン(煎)である。ジョンとは、小麦粉をまぶし、溶き卵にくぐらせて軽く焼いた料理の総称だ。韓国のピザと紹介されることも。このような料理は「プッチムゲ부침개」ともいわれ、慶尚道では「チヂミ지지미」という。ちなみに日本でも「チヂミ」と呼ばれている。 パジョンの元祖は、釜山の「東莱(トンネ)パジョン」だ。20世紀初頭、温泉街として有名な東莱の市場で簡単な食事として登場したのが、東莱パジョンの始まりだった。ワケギをメインに、海産物などをさらりと盛り込んだシンプルなもの。このパジョンが、人々の間で大いに人気を博し、釜山を代表する郷土料理と認知されていった。李氏朝鮮が終わる頃、宮
2019年末から続いたコロナの拡散で全世界は営業中止、旅行禁止、自家隔離、在宅勤務など感染病抑制策を強力に施行し、社会の全分野が厳しい時期を送っている。特に、国際観光客数が激減し、観光市場が萎縮していることを受け、国内観光産業は前例のない衝撃や危機に見舞われている。しかし、今や世界各国のワクチン接種が本格化するにつれ、コロナの終息に備えて変化した環境に積極的に対応しなければならないという指摘だ。観光産業は人と直接接触するヒューマンタッチ(Human Touch)方式だが、今後、非対面基調の拡大により、観光ビジネスの変化が必ず伴われることになるからだ。ちょうど韓国は来年、大統領選挙の地方選挙を控
韓国では、豚カツのことを「トンカス」という。(←韓国語:「トンカス」は、本来日本料理である。日本では「돈까쯔」と発音する。)トンカスは、豚肉を叩いて薄く伸ばしてから揚げ、平べったくて衣が厚い。ソースが、偽デミグラスソース(demi-glace sauce)ならまだいい。以前は、タルタルソース(tartare sauce)にケチャップを混ぜたようなピンク色の甘いソースがかかっていた。このソースは不味かった。最近ではちゃんとした日本式ソースがかかっている店も多いのでホッとする。韓国では、トンカスは洋食として完全に定着している。ナイフとフォークで食べる。ご飯もお皿に盛られてくる。汁物ではなく、西洋風
最近、アジア文化経済振興院の「インド·ムンバイ本部 顧問団 委嘱」は日中韓北東アジア共同体を超え、アジア全域に地平線を大幅に拡張する快挙だ。文在寅 大統領は就任直後から新南方政策(New Southern Policy)に多大に力を注いできた。「(新)南方政策は、ASEANとインドなど東南アジア諸国と政治・経済・社会・文化など幅広い分野で、周りの4強(アメリカ・中国・日本・ロシア)と類似の水準に関係を強化し、朝鮮半島を越えてアジアをはじめ全世界共同繁栄と平和を実現しようとする文在寅政府の核心的な外交政策とあいまっているためでもある。 世界 4大文明の由緒ある発源地インドは地政学的に南アジア(S
全羅南道の名産である「ホンオ(和名:ガンギエイ)」。世界で二番目に臭い食べ物だ(1位は、スウェーデンの発酵ニシンの缶詰、シュール・ストレミング Surströmming)。発酵食品のホンオは、その発酵の仕方が世界でも類を見ない独特なものだ。塩辛[韓国語:젓갈]のような魚系の臭いでもなく、ブルーチーズのような動物性タンパク質系のそれでもなく、ましてや納豆[韓国語:청국장]のような植物系でもない。想像を絶する、鼻をつんざくアンモニア臭なのだ!初級クラスは箸でつまんだときに臭い、中級は料理が出てきたときに臭い、そして上級は厨房で料理の準備を始めたときから臭う。一切れ口に入れ、おそるおそる噛んだその瞬
サンチュとならんで、肉やご飯を巻いて食べるときに必ず出て来る「ケンニプ」。えごまの葉っぱである。独特な香りが特徴。統一新羅時代の頃から栽培が始まったという。このケンニプ、韓国以外で食用にする国がほとんどない。まさに韓国ならではの食品のひとつだ。食べないものはないといわれている中国ですらも食用にされない。その理由は、ケンニプ特有のペリラケトン(perillaketone)の臭いを 不快と感じる人が多いため。中国、日本、その他のアジア諸国はもちろん、欧州やアメリカに至るまで、「この匂いは苦手だ」という人が多い。韓国人の中にも嫌いな人はいる。しかし、一度この香りの虜になると、大好きな食べ物となる。サ
1990年代、私が初めて「プデチゲ」を食べたとき、「鍋にインスタント・ラーメンが入っている!」と驚きの声を上げたのだが、もうひとつ驚いたことがあった。それは、鍋の中にスパムが入っていたことだ。日本人の感覚として、鍋料理にスパムが入っているというのは、なんともミスマッチ。ところが以外や以外、辛い鍋とスパムとの相性は抜群で、「ええっ、スパムってこんなに美味しいの」、私は再び声を上げたのだった。スパムとは商品名であり、アメリカのホーメル食品(Hormel Foods Corporation)が1937年に生産を始めた肉の缶詰である。本来は「ランチョン・ミート(luncheon meat)」という食べ
国際社会の振幅が尋常ではない。20世紀を風靡したアメリカ中心の「パックス·アメリカーナ」時代が揺れ動く中、グローバル社会には新しい風が吹き荒れている。これと関連し、中国が中心となる「パックス·シニカ」時代の到来を展望する声も少なくない。しかし、中国が直面している「中国病」などから考えて、中国の時代はまだ時期尚早だと考える。結局、G1アメリカとG2中国の現状を考慮すると、グローバル社会、特にグローバル経済分野などは当分の間、唯一覇権大国による独自主導ではなく、いくつかの主要国による多国的主導の影響をより多く受けることになる可能性が大きいだろう。では、新しい時代の主役たちは果たして?現在、グローバ
日韓両国が迎える21世紀の新しい関係は、冷戦時代の極端な両極化や脱冷戦時期の多極化ではなく、複合ネットワーク構築の時代である。従って、両国間の緊密な協力関係の構築は、従来の日米韓関係を強化するだけでなく、日中韓朝の友好協力関係と対立したり矛盾しない方向で模索されなければならない。 現在、日韓関係は「シーシュポス(Sisyphus)の神話」に比喩される。シーシュポスが山に岩を上げるが、転がり落ちてくるように日韓関係も信頼を築いたが、何度も崩れた。従って、日韓関係の発展は両国政府の努力だけでは難しい。日韓政府間の外交的解決が難しい時、民間レベルの公共外交(public relations)は最も強
旧正月(설날)や秋夕が近づくと、デパートの中が妙に魚臭い。そう、贈答品売り場に何百匹ものクルビが連なって吊るされているからだ。この様子、外国人観光客にはかなり驚きの光景である。さらに値段を見てみると、これがまたべらぼうに高い。韓牛セットよりも値が張るものもある。クルビって、そこまで美味しい食べ物なのか? 一体どんな味なんだ? 私を含め、外国人はみな、そう思うのだった。 チョギ[注:一般的にイシモチと翻訳されているが、キグチという同じ種類の別の魚である]を塩漬けしてから、天日干しにしたものがクルビである。数え方も独特で、10匹ずつ吊るされ、20匹ごとに1トゥルムという。全羅南道霊光郡法聖浦の特産