佐藤行衛

全羅南道の名産である「ホンオ(和名:ガンギエイ)」。世界で二番目に臭い食べ物だ(1位は、スウェデンの酵ニシンの缶詰、シュストレミング Surströmming)

酵食品のホンオは、その酵の仕方が世界でも類を見ない特なものだ。塩辛[語:젓갈]のような魚系の臭いでもなく、ブルズのような動物性タンパク質系のそれでもなく、ましてや納豆[語:청국장]のような植物系でもない。想像を絶する、鼻をつんざくアンモニア臭なのだ!

初級クラスは箸でつまんだときに臭い、中級は料理が出てきたときに臭い、そして上級は房で料理の準備を始めたときから臭う。一切れ口に入れ、おそるおそるんだその瞬間から、鼻腔にがる超烈な刺激臭。やっとの思いでんだには、食道のから腺にいたるまで、アンモニアのジェット流が一に突きけるこの凄さ。あまりの刺激にがぽろぽろ。食べる催涙弾ってか。

ただし、私のように、一度食べたら病みつきになる人はほとんどいないだろう。韓人ですら、食べられない人が多い。だが、全羅南道では超高級料理で、結婚式にはホンオを何匹用意できるかによって、その家の懐具合がわかるという。

酸味のいたキムチ(묵은지)と茹でた豚肉とホンオフェの盛り合わせを「サマプ(三合)삼합」という。この組み合わせ、グレイト! 三つの珍味の出いである。口を近づけるだけでむせてしまう「ホンオクク」や、腺を直する「ホンオチム」など、熱で食べるホンオも強烈で最高だ。

木浦港から船にって1時間40分の離島・黒山島で漁れるホンオは、とくに貴重品。昔はホンオの名産地だったのだが、今では水揚げ量が極端に減ってしまい、山島産はなかなか食べられない。漁れたては、酵させずに刺身で食べられるところがポイントだ。とくに捕獲したばかりのホンオの肝()は絶品。口の中にがるとろりとした上品なコクに、ほっぺたが落ちること必須だ。さらには肝のスプ「エタン애탕」は二日いの特効薬で、モメチョッタ(身体に良い)!

さて、日本の食べ物で臭いものといったら、「くさや」である。ホンオには及ばないが、それでも世界で臭い食べ物の5本の指に入る。

くさやは、新鮮なムロアジ(갈고등어)を、「くさや汁[じる]」と呼ばれる、特の風味をもつ、無茶苦茶臭い酵液に浸潤させた後、天日干しにした食品だ。匂いのきつい干物で、伊豆諸島(東京の南海上に連なる島)の特産物として有名だ。

そのままでもかなり匂うが、火で炙ると、物凄く烈な臭する。家庭の台所でくさやをいていたら、近所から異臭がすると通報され、警官がけつけたなんてことが、笑い話ではなく際にあるほど。お巡りさんが、近所迷惑になるから換扇を回さないで(!)んだとか。

 

そんなくさやの匂いとは一体どんなものかというと、はっきり言ってしまえば、排泄物の匂いである。そこに魚の生臭さと下水口の匂いが混ざり、しかもそれらが焦げて煙を上げている。半50mは異臭警報域だ。

 

だがしかし、きあがったくさやを恐る恐る食べてみると、これが滅茶苦茶美味い。臭かったことなんかく吹き飛んでしまう。き上がりのホクホク感に、めばむほど魚の旨味があふれ出し、酵したくさや汁と複に絡まったその味は、まさに珍味。この味を知ってしまってからは、異臭だと思われたくさやの匂いもにならなく…、いやそれどころか、匂いがしてきたら涎が垂れるようになることだろう。

 

この匂いと味の要であるくさや汁は、はじめはただの塩水であった。魚を塩水に漬けて干していたのだが、昔は塩は大貴重なもの。そんな貴重品を干物を作るたびにその都度使うわけにはいかない。そのため、漬け汁を捨てずに保管し、何度も何度も再利用したのである。

 

この「もったいない精神」が、くさや汁を生むこととなった。魚を何百匹と浸すうちに、魚の旨味が塩水に溶け出し、それが酵してくさや汁となったのである。酵によって天然の抗生物質が生成され、腐らない。古いものほど旨味が出るといわれ、200年ものもあるという。

 

しかもこのくさや汁、島に住む住民らにとっては、ただの液体ではない。近年になるまで、島には者がいなかった。そんな時代、島の住民は、下痢や便秘、風邪などで身体の具合がくなったとき、くさや汁をぬるま湯に溶いて、としてんでいたのだという。

 

でもあり特産物でもあるくさやは、やはり、モメチョッタ(身体に良い)なのだ。

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