佐藤行衛

韓国のチキン 出処:Clipartkorea

韓国では、フライドチキンの人気がべらぼうに高い。他国より明らかによく食べていると思う。

ビールのおつまみにフライドチキンを食べることを「チメク」(チキン+メクチュ[ビール])と呼び、もはや庶民の食事のスタンダードだ。韓国人はなんでも、1人当たり1年で12羽のチキンを食べ、1日で約52万羽を消費しているという。

1980年代頃までは、市場に行くと生きた鶏を売っていて、そこで1羽を選ぶと、その場で羽をむしって、30分ほどで鶏の丸揚げを作ってくれたそうだ。揚げている間に、市場を回って、他の買い物をして戻って来るというわけだ。残念ながら、現在は食品衛生法によって、この商売は禁止されてしまったが、あー本当、その頃に食べてみたかった。どう考えても美味しいに決まっているもの。

ところで、実は、歴史を紐解いてみると、韓国ではフライドチキンより、長い串に刺した鶏を、ぐるぐると回しながらじっくり丸焼きにした、電気トンタククイ(鳥の丸焼き)の方が先であった。1960年開業の「明洞栄養センター」がその発端だ。現在でも、トラックを改造したトンタク・バーベキュー売りを路上でよく見かける。最近では北でも、トンタク・リアカー(수레통닭)が流行っているらしい。

さらに、明洞栄養センターでは、1960年代後半には出前も始めており、チキンのデリバリーもここから始まったのだった。ただしまだこの当時は、鶏料理は、参鶏湯と同じように滋養食であり、高級品であった。

その後、1970年代の「漢江の奇跡」によって、安いブロイラー鶏が登場し、食用油の普及もあり、1977年、韓国初のチキン専門店「リムスチキン(림스치킨)」がオープンした。そして1982年にはヤンニョムチキン(甘辛味付けチキン)が開発され、1984年にはケンタッキー・フライド・チキン(KFC)が韓国に上陸し、チキンが庶民の舌を完全に捕らえるのに、そう時間はかからなかった。
 

日本の唐揚げ 出処:Clipartkorea

さて、日本にケンタッキー・フライド・チキン(KFC)が上陸したのは、1970年である。日本では、フライドチキン販売業者は、KFCがほとんどのシェアを占めている。

実は日本には、昔から「唐揚げ」という料理が存在していた。唐揚げとは、食材に小麦粉や片栗粉を薄くまぶして、衣をつけずに高温の油で揚げた料理だ。江戸時代初期(1600年代)に中国から伝来したと言われていて、それゆえに「唐(=中国)揚げ」と呼ばれる。材料は鶏に限らず、肉類全般に、エビやタコ、イカなどの魚介類もある。

もちろん今でもいろいろな唐揚げがメニューにあるが、一般的に「唐揚げ=鶏の唐揚げ」というイメージが定着したのは、太平洋戦争終了(1945)後に、食料難を解消するために養鶏場を多く作るという国策の下、アメリカのブロイラー技術が輸入され、国内で鶏肉が増産されるようになってからだ。

そのような経緯で、日本では唐揚げがすでに庶民の味として一般化していたため、KFCが上陸しても唐揚げが駆逐されるということはなかった。もちろんフライドチキンも大人気を博したが、「フライドチキン=西洋の唐揚げ」という図式は変わらなかったのだ。

さて、フライドチキンと唐揚げの大きな違いは何か? それは調理法にある。唐揚げは、肉自体に、塩胡椒、にんにく、生姜、酒やみりん、醤油など、下味をよく染み込ませ、小麦粉などを軽くまぶして揚げる。フライドチキンは、肉自体には味付けをせず、揚げる前かもしくは揚げた後の衣に、香辛料やハーブなどで味付けするのだ。ゆえに、唐揚げは肉の中まで味が染みているが、フライドチキンは衣だけに味がついている。

日本のケンタッキー・フライド・チキンも、唐揚げとの違いについては、こう説明している。「衣に味をつけるか、お肉に味をつけるか」、そして「フライドチキンは、鶏肉の旨味を味わう料理」であると。

ちなみに、本場アメリカでのフライドチキンは、20世紀中頃まで、「南部の黒人奴隷の食べ物」として偏見の目で見られていて、白人富裕層が食べることはなかった。フライドチキン好きだというアフリカ系アメリカ人のステレオタイプ・イメージもそこから来ている。だが現在では、アメリカ料理として、全世界的にも有名で、変な偏見などない。どこの国でも、皆、美味しく、楽しく、食べている。それはやはり、ケンタッキー・フライド・チキンの尽力による影響が大きいだろう。

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